○○屋の××は美味しい

数多の飲食店を巡っているといくらか注文の定石というものが理解できるようになる。ラーメン屋で麺をひとまず硬めにしてみるだとか(異論は認める)、そういった類の話もあるが、今回は少しニッチに注目したい。なお早い、安い、旨いを基準に考えているので悪しからず。

 

1.蕎麦屋の丼ものは美味しい

これは誰しもが知っているかもしれない。単純な話、秘伝のめんつゆをタレに応用できるのだ。さすれば少々濃いめのドンブリが完成する。江戸っ子にはたまらない。天麩羅を塩で食べたい者の気持ちは分かるが、この世界はタレなのだ。

2.肉屋の惣菜は美味しい

意外と思うが、これも根拠がある。

肉屋は小遣い稼ぎに惣菜を作って売っている場合が殆どであるが、肉に合う調味料をよく理解している。コロッケやポテトサラダに入っている塩胡椒は、長年肉で鍛えられた感覚だ。今夜のおかずに一品足してみてはどうだろう。

3.二郎系の豚は美味しい

どう見てもチャーシューだが彼らは豚と呼んでいる。あれ単品でツマミとしてくれたらどれだけ嬉しいかと思ったほど量の多いラーメンだが、それのおいしさは一目置いている。ツイッターで見かけた「ホロッホロの豚、俺好みのもの」というのは、まんざら嘘でもないだろう。持ち帰りのできる店舗も出てきているそうなので、積極的にねらっていきたい。

4.高級店のラーメンはうまい

正直高級料理店ではほぼ何を食ってもうまいが、ラーメンは安いうえに美味いのだ。コロナ不況で金持ちが金を落とさなくなったことにより、店舗は家賃の支払いに追われるようになってしまったが、マイナスを少しでも減らそうと始めたのが一般人向けのサービスだ、と言ってもエリアがエリアなだけに劣悪な客は存在しない。学校帰りの私大生などがターゲットなのだろう。

何がうまいって

単純な話、素材が良い。いいものを使うとうまい。高級な出汁、高級な豚で作ったチャーシュー、高級海苔。挙げていけばキリがない。何度も言うように、あまりプラスを出そうとして作っているものではない。作っている側からしても仕方なく作っているという側面もあるかもしれない。しかし料理人のプライド故妥協はできないので、完全体が常に作られる。正直な話スープまで完飲しかけた。

結局

そこそこの値段までの食べ物の味を決めるのは調味料である。素材の味を楽しみたければ塩以外加えられないが、あまりいい部位ではない部分を使う場合は臭みやえぐみを誤魔化さなければいけない(その点では4が一番おすすめできるとも言える)。それを潰せる奇跡の物体こそが調味料である。現代に生まれて三番目くらいにうれしいことはこれだろう。

諸君もたまにこの話を思い出せば、人生が少し豊かになるかも。