インドカレー屋は心の拠り所である

はじめに

神職をやっている以上、心の拠り所とは何かと聞かれて神社と言わなければならないのだが、残念ながら神社は当然の存在のためそういった印象で登場しない。さらば何かと言われれば、インドカレー屋である。

インドカレーとは

恐らく知らない方はいないと思うが、念のために説明すると、インドで作られている香辛料を混ぜ合わせた食べ物である。インド人的にも定義があいまいで、広義のインドカレーを表現するのは私の力を大きく超えている。

我々が日本で食べるインドカレーというのは、ルーが多め、具が少なめの独特な香辛料のカレーである。ヒンズー教徒が殆どなので、牛は神聖、豚は不浄のためそれらの具はない。ありがちなのは鶏、野菜、海老である。

主食はナンかサフランライスが選べるが、ナンの種類が豊富なのでナンだけで生きていけてしまう。

また、我々が普段食べるカレーライスはイギリスから輸入されたものだそう。

何故インドカレーなのか

メリット

1.コスパが良い

インドカレー屋のランチは基本的にどこでも1000円以内で食べることができる。安いところなら500円のところまである。しかもナンはお代わり自由か超低価格。カレーの残る限り食べ続けることができる。このことから食欲さえあれば金銭的に毎日通うことができるのだ。ちなみに筆者は週1くらいで行く。

2.おふくろの味

メニューはどこへ行っても大差無いのに、チェーン店のターリー屋等を除けば店ごとに味は全て異なると言っても過言ではない。あの店でカレーが食べたいとなるのがインドカレーである。

また、ナンにおいても殆どの店舗が自家製の、窯で焼いたナンを提供してくれる。これは調理師の具合と言うものが出て、今日は調子がいいだとか、今日は疲れているだとかが少し見えたりする。その変化もまた、楽しい。

カレー周り以外にも、タンドリーチキンのようなサイドメニューが多数あって、それぞれに個性を感じつつも、不味いと思った商品は一つとしてない。日本人の口に合うように研究されたかは不明だが、商品として非常によくできているのだ。

そしてカレーは国民食とも言われるくらいポピュラーな食べ物で、毎日食べようと思えば食べることも不可能ではない。

またラーメンと違い、カロリー爆弾となって消費者を襲うことは稀であり、そして好みの牛丼屋を三種類の中から探す必要もない。あなたは見つけたカレー屋に入るだけでいいのだ。

3.いつでも空いてる

店的にはあまり嬉しいことではないかもしれないが、駅前に構える大きな店舗を除いては絶対に待たないし、大人数で予約しても快諾してくれる。静かなので一人で行って落ち着いた時間を邪魔されることもないし、飲み会やパーティーをしても迷惑になりづらい。

また店舗の営業時間も11:00~23:30くらいの店舗が殆どで、ランチタイムから延々と営業している。店員は辛くないのだろうか。昼間に小腹が空いたのを満たしに行くという立ち回りもあれば、寂しさを覚えたとき深夜にふらっと寄るなんてこともある。どんなことがあっても、インドカレーは自分を受け入れてくれるのだ。

4.割とどこにでもある

23区はインドカレー屋が軒を連ねている、というのはインド大使館が当時は早稲田に、現在は九段にあるため、外交関係者が利用した経歴があり、その名残がこの二点周辺の地域である。筆者の地元も歩いていて無くはないという印象を受ける。

全国にもインドカレー屋は多数あり、見つけることは困難ではない。そういった理由から行きつけとなりやすいとも言える。

5.妙に優しい

正直に言うと、インドカレーと言いつつ本当にインド人が経営しているかは行って(聞いて)みないとわからない。ネパール人経営者かもしれないし、パキスタン人かもしれない。しかしそれは些細なことで、店の人は悉く優しい。初めて行った店でさえラッシーをサービスしてくれるし、常連とは会話が絶えない。コミュニティがあるのに、最も秩序のある、人間のいやらしさが無い空間なのだ。

もし仮に外国人の友人を招待するならば、インドカレー屋に連れて行って欲しい。店員は全員英語が達者で優しいものだから、自分の英語力が無くても友人が困ることは無いだろう。

デメリット

カレーは前述の通りスパイスで構成される食べ物だ。よって、大量に摂取すると消化器に異常をきたす場合がある。わかりやすく言えば、下痢だ。体に合わないのであれば量を食べたり、癖のあるメニューは避けるべきだろう。

私の「いつもの」

特に私が好きなカレーはバターチキンカレーである。何せどんな店に行ってもハズレが存在しない。コクのあるバターと甘めの味付けにそこそこの辛さが合わさり満足の一杯となる。チーズ分の多いチーズナンなどと合わせれば感無量である。

仲が良くなったインドカレー屋は結構あったが、潰れてしまった店もあり、あの店主は今頃何をしているのかと偲ぶこともある。

皆さんも地元のインドカレー屋の行きつけになって、おいしいという感情とともに自分を考え直す機会を作ってみてはどうだろうか。