大洗と言えばガルパンである

ガールズ&パンツァー

もう10年近く経つというのが信じられない。当時のアニメオタク、ミリタリーオタク、乗り物オタクまでを魅了したであろうスポコンアニメだ。(以降ガルパン

廃校寸前の県立校が、存続を懸けてスポーツで成績を残そうとする。そのスポーツこそが戦車で戦う戦車道である。ガルパンの世界観では戦車道が女子に広く親しまれている競技であり、中等教育の部活では主に第二次大戦期の見た目の戦車が使用された。

学校は学園艦という航空母艦の上に町が形成されたような見た目の船を所有し、生徒はそこで生活する(しばしば陸にも戻る)。そこで、船上や陸地でモチーフとされた町こそが茨城県大洗町である。

そうだ、大洗、行こう。

オタクは趣味に関してフットワークが軽くなるというのは周知の事実である。暇だったということもあったが、12話視聴して一年くらい(再放送勢なので当時大学生)でふと思い立ち、ふと旅に出た。愛車のフィアット500S車体もエンジンも小さいながらもお洒落に目的地にたどり着いた。その時点では一泊二日くらいを想定していた。

大洗磯前神社

高台にある神社であった。無駄に綺麗に再拝し、旅の無事を願った。神職と会話したような記憶もあるが内容までは覚えていなかった。自分も神職なだけに神社に特別な思いが湧かなかったのでその場を後にした。

市街地

「アニメで見たとこだ!」という子供のような感動はある程度続いたが、長くは無かった。知らないで行けば普通の田舎町だからだ。事前にもっと市内について勉強していれば新たな気づきもあるのだろうが、ガルパンを予習しているので満足していた。何より他の旅でそこまで考えたことが無かったにもかかわらず、他の旅は結構な確率で当たりだった。

マリンタワー

折角だし町の全貌を見ようかと展望台へ、景色は良かった…と思う。正直なところあまり記憶が無い。カフェでサンダースバーガー(作中に登場する学園の一つの雰囲気を再現したハンバーガー。名前は記憶が曖昧)を頂く。作り置きではなかったと思うが、お世辞にも美味しいとは言えなかった。

ショッピングモール

一般ブース

偶然チェーン店以外ほぼ閉まっている状況であった。駐車場が広いという印象が一番強かったことがこの付近を物語っている。タイミングが悪かったと感じ、次を探した。

ガルパンブース

ガルパンの歴史が載っていたり、土産が置いてあった。この時点ですでに「オタクは喜ぶだろうなー」と冷めた目になってきた。見る物を見終えたらある物が目に飛び込んできた。

試遊台

現れた。こんなところにまであるのか憎きWorld of Tanks。当時はスキンやボイスでガルパンとコラボしていたのだ。しかし見てしまった以上プレイするのがゲーマーというもの。試遊台アカウントの微妙に開発が完了していないⅣ号戦車で一発で一位を取れたのでやめた。ちなみに試合は負けた。

店員も何故怒りながらプレイしているのだろうかと困惑している表情だった。

ガルパンかつ

作中でも登場するトンカツ屋へ向かう。当然注文したのはガルパンかつである。戦車の見た目をした二段式のロースかつ定食が出現した。うん、普通。俗に言う町に一件あるとんかつ屋だ。二段なせいで量も多い。変にオタクぶらず上ヒレカツ定食を頼むべきであった。それを頼むにしても私の経験上一番美味しいとんかつ屋は神楽坂のあげ月である。上ヒレでもおそらくそこより美味しいという事は無いだろう。そもそも価格設定からして違う。腹十二分になりながらその場を後にした。

ガルパンのみの町

暗くなる頃ふと思った。この町にはガルパン以外無かったのだ。

他の何を求めても大都市や巨大な観光地の下位互換しかならない。大洗町の良さはガルパンに登場したことしか無かった。私は旅の予定を急遽変更、日帰りとした。

給油のため偶然入ったスタンドで満タンを要求したら、頼んでもいないのにバイトが口切り満タン(給油口ギリギリまでの給油)にしてきた。そこまでして一円でも稼ぎたいか、危険なので止めて欲しい。

世の中に過疎地域は多数あるが、偶然、何らかの関わりで大洗が舞台になったのだ。逆にここまで何も無い街を夢と希望の舞台にした監督やアニメーターこそが天才だという認識で固まった。

悪く思わないでほしい。アニメが好きだからこその批判である。